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世界広がった中国語
【言葉を学んだきっかけとよかったこと①】

2020年12月20日

 「世界ってでけえ」

 小学校に上がる前、初めて世界地図を見たときにそう感じた。数十㌢四方の世界地図の中で、日本はたった指1本の大きさ。まして大都市だと思っていた東京や自分の暮らす市町村なんて、ただの点でしかないことがショックだった。

 そこから、漠然と外国や外国語に興味を持った。

 大学では中国語を専門的に学んだ。なぜ中国語だったのか、そこにたいした理由はなかったと思う。ちょうど進路を選ぶ時期に領土問題が再燃し、中国での反日運動がピークだった。周りでは「中国って怖い」などと騒がれていたから、逆にそれが本当なのか見に行ってみたかった。もし、身近に大好きなロシア美女がいたらロシア語だったかもしれないし、中東料理が好きだったらアラビア語だったかもしれない。

 在学中に中国留学をしたが、慣れないことも多かった。

 道路をひっきりなしに往来する車。それが途切れた瞬間に、当たり前のように歩行者が横断していた。友人の後をついて渡ることが多くあったが、正直、怖かった。

 半年経ったころ、中国の友人に「なぜ、信号も守らないのにひかれないの」と聞いた。「信号よりも自分の目の方が信じられる。みんな安全だと判断して渡っているからね」。意外な答えで、すぐには理解できなかった。

 つまり、日本では「みんな信号を守る」という絶対的な暗黙のルールがあるから、信号を信用できるという。一方、中国では、ルールが絶対守られるという信頼がないため、渡る時は自分の目で見て車が来ていなければ、渡るという。「車が来てないのが見えてるなら、車にひかれる心配はないでしょ。むしろ、日本人は車が来ていなくても、信号が赤ならずっと待ってるの」。友人はそう言って、笑った。

 日本と中国の交通ルールに関してどちらが良いかは、わからない。ただ、自分の暮らしてきた日本とは全く別のルールで動く社会があった。

 いま世界には190を超える国があり、その一つひとつに、文化や歴史、人々の生活様式がある。私はたまたま中国語を学んだから、「中国」に触れた。小さな自分の世界は、中国語のおかげで少しずつ広がっている。言葉を通じて、友人が世界中にできた。これからもきっと中国語は、世界を広げてくれるはずだ。

 ◇◇◇

  yuのメンバーが、自分のエピソードを交えて、「言語学習の経験」を紹介していきます。まずは「言葉を学んだきっかけとよかったこと」について語ります。

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