yu ブログ

物語のゆりかごから、一歩外へ
【言葉を学んだきっかけとよかったこと②】

2020年12月27日

 新しい友達をつくるのが好きだ。初めて出会う人と言葉を交わし、少しずつお互いを知っていく過程が楽しい。学生生活を終えた今も、社会人向けのサークルなどに参加し、新しい人と日々出会える環境を保つように心がけている。世代や国籍、性格や考え方の異なる人と会話するのは単純に楽しいだけではなく、学びや発見も多い。出会う人一人ひとりから得たものが、日常生活や仕事に活きている。

 私が幼いころから常に新たな出会いを求めるタイプだったかというと、そうではない。むしろ、自分の世界の中で、一人きりで楽しむことのほうが好きだった。例えば読書。お気に入りの一冊に没頭しているときは、仲が良い友達からの誘いすら億劫だった。特に夢中になったのは、翻訳ものの小説だ。私が小学生だった頃、世間は海外ファンタジー小説ブームで、私も次から次に読み漁った。『ハリー・ポッター』、『ダレン・シャン』、『サークル・オブ・マジック』……。不思議な魔法の世界や、登場人物たちの暮らす異国の地に憧れた。翻訳もの特有の言い回しに惹かれ、いつか外国の素敵な物語を自分で訳してみたい、と思うようになった。

 中学や高校での英語の授業は、文章の読解が大半を占めていて、楽しかったのを覚えている。英語の文章を日本語に訳していると、まるで自分が翻訳家になったような気分になれた。大学受験の際、外国語学部を志望したのは自然な流れだったと思う。

 しかし、大学で専攻した中国語の学習は、中学・高校までと勝手が違っていた。会話が重視され、積極的な発言を求められる授業形式に、うまくついていけない。その様子を先生が見かねて、会話練習を行う学内サークルへの参加を勧めてくれた。サークルのメンバーは皆すらすらと外国語を操っていて気後れしたけれど、なんとか授業についていきたい一心で参加を決めた。不安はあった。でも、周囲のフォローで、私も少しずつ会話についていけるようになった。サークルには、私が今まで交流したことのなかったタイプの人がたくさんいて、異なる考え方に何度もふれた。目から鱗の思いをすることもあれば、自分の考えを改めて再認識することもあった。いろいろな人と出会い、言葉を交わす度、視野が広がっていく感覚がある。気づけば、活動が楽しみになっている自分がいた。

 大学での授業やサークル活動を経て、私は中国語の本を原文で読めるようになったし、自分の言いたいことを中国語で表現できるようになった。加えて外国語学習は、新たな人と出会い、そこから学びや発見を得ることがどんなに楽しいかを私に教えてくれた。幼いころ憧れた翻訳家にはなれなかったけれど、自分一人きりの小さな輪から出たがらなかった以前の私には想像もつかなかった大きな世界が、今の私の周りには広がっている。

 ◇◇◇

  yuのメンバーが、自分のエピソードを交えて、「言語学習の経験」を紹介していきます。まずは「言葉を学んだきっかけとよかったこと」について語ります。

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